チエコ2017報告2

チエコ公開審査会では、審査委員の皆様からの講評を楽しみにしている方も多いと思います。今年は新しく審査委員に就任された方からも貴重なお話をしていただきました。皆さまも、来年はぜひ会場でお聞きくださいね。

 

谷田 泰さん(谷田ハウジングウエア代表取締役・ゲスト審査委員)193-_I3A1423

初めて審査委員をさせていただきました。年末に膨大な資料が届いて、これに点数を付けるのか、コメントを全部入れるのか、大変な作業だと思いました。そうした作業を終えて、今日皆さんのプレゼンを聞いていると、「よく考えているなあ」とか、「私が感じていることとは違う視点でやっているな」とか、「実際にやっている人は強いな」とか、いろいろなことを感じました。

質疑応答の中で、宿谷先生や藤村先生が皆さんに質問されたことを聞いて、チエコの応募アイディアは、やっていることは小さいかもしれないけれど、実はすごく社会的に大きなことをやっているんだと気づきました。世の中を1ミリでも動かすことで、大きく変わっていくようなきっかけになる活動になっているのではないかと思います。

ぜひこれからもいろいろな方にこういった取り組みを知らせていただいて、来年はもっと多くの方にご参加いただいて盛り上がる会になるといいですね。
藤井智佳子さん(ソーラー女子・染織作家)

194-_I3A1425第1回のチエコに応募して大賞をいただきました。まさか、私が審査委員をさせていただくような機会があるとは思いもしなかったので、たいへん光栄です。

今回、審査をさせていただいて一番戸惑ったのが〝ゴミ”というところです。私にとってペットボトルはリサイクルの資源で、きれいに洗ってリサイクルのかごに入れる物。ビニール傘の使い捨てはしないので、ビニール傘ってこんなに捨てられるのかとか、コーヒーかすもうちは布フィルターでコーヒーを淹れて、かすはコンポストに入れるので資源なんですね。それがゴミとか不用品扱いになっていることにすごく戸惑いました。やはり、ライフスタイルが違うと価値観も違うと実感しました。

今日はビニール傘やコーヒーかすなど重なるアイディアが多かったけれど、そこがエコに気づく最初のきっかけだと思います。私も台所の三角コーナーのゴミがどこに行くんだろうと思ったことから石鹸のこと、ひいては環境やエネルギーのことを考えるようになりました。そういう自分の初心に戻る気づきも今日はいただきました。

暮らしの中のエコの知恵を毎年コンテストに3、4点応募してきて、それがたまって本になりました。私の場合は専門家ではないので、暮らしの中で仕事のものづくりの延長としていろいろなものをつくって楽しむという感じでやってきたんですけど、自分のつくっている物がどこから来てどこへ行くのか、エネルギーはどこから来ているのか。それから資源の奪い合いで戦争になったりとか環境破壊になったりとか。節電から始めたことが、震災以降いろいろ考えていくようになりました。

今思うのは、エコロジーとエコノミーって表裏一体じゃないかということ。環境を破壊してしまうと、元に戻すための時間とコストなどのツケが数年先に回ってきます。子供や孫の代ではなくて3年、4年先に、自分に回ってくるんです。ですから、今環境のことを大事にするのはイコール経済を大事にすることじゃないかと思っています。ありがとうございました。

 

 

藤村靖之さん(非電化工房代表)

197-_I3A1431チエコはもう4回目なんですね。すごい! 前回から1年経って、世界はまた環境問題からかなり後退してしまいましたね。その中でつなが~るズの皆さんは引き続きちゃんとこういうことをやってくださって本当にありがたいと思っています。

今回で4回お手伝いさせていただいていて、今回はとても雰囲気が良かった。人間味あふれる作品が多かったような気がします。とりわけ加藤さんと高山さんと樋口さんの滋賀県立大学デザイン学科3人娘の作品がとても素晴らしい。とても美しいし、センスもいいし、発想力もいいし、行動に移す力もあるし、哲学を持っている。ぜひそういう力を活かして活躍していただきたいと思います。

エコロジーというのは、もちろん資源の無駄遣いや環境の破壊を止めなければいけないんだけど、もっと大事なことがあるような気がいつもしています。人間性とでも言ったらいいんでしょうか、美しさとか優しさとか、愉しさとか、そういうものがもっともっと大切だと思います。今回の作品はそういう美しさや優しさに満ちていて、とても良かったですね。

 

 

 

宿谷昌則さん(東京都市大学環境学部教授)

204-_I3A1439皆さん、お疲れ様でした。今日はとても楽しい会だったと思います。毎年、年末に資料をいただいて、今回で4回目なんですよね。僕は正直にいろいろなことを言う性格なので、言っちゃうと、4回やっているとですね、ちょっとくたびれているところがあるんです。どう思ったかというと、去年までの3年間に比べると、全体の質が落ちたなと実は思いました。

けれども、今日の皆さんが出されたプレゼンテーションは、すごく面白いなと正直に思いました。それぞれカラーの違うアイディアを全体として合わせて、皆で考えるチャンスを年に1回ぐらいはこういう風に持つことがすごく大事だと思います。皆さん、会社や家庭で、あるいは友人とチエコの話をしなくても、行動や話の片隅にこういう体験を我々がシェアしたことが出てくるでしょう。その積み重ねがすごく大事なんだと今日改めて思いました。
藤村先生もおっしゃっていましたけれど、やっぱり続けることが大事だと思います。

それと、地球温暖化ですとか、エコという言葉はずいぶん昔から使われていますし、少し専門の世界ですとゼロエネルギーハウスとかゼロエネルギービルディング、あるいは太陽光パネルとか、環境の技術に関するキーワードがたくさんあります。僕も長いことずっとそういう世界で活動してきて、いつも思うんですけど、インチキな言葉が実はたくさんあるんです。そういうインチキな言葉の背景にある本当に大事なところをちゃんと見抜く力を僕らみんなで育て合うことがすごく大事で、今日上位で受賞した人たちは、そういったところを見ようとしていると思います。

僕は今、ある本を書いています。部屋の中の環境をどうするかとか、ポンプやファンといった建築設備の要素技術をなんとか面白くしなければいけないという思いで書いている本です。どこからスタートしていいのか僕もよくわからないのですが、あることに気が付きました。

生物の世界に、日本でいう発生生物学、英語ではDevelopmental Biologyという分野があります。そこで一番大事な教材として何を使うかというと鶏の卵なんです。受精卵は20日位でひよこになります。よく黄身がひよこになるんじゃないかと思っている人もいますけど、あれはそういうもんじゃないんですよ。黄身のところに1ミリか1.5ミリ位のシミみたいなものがあります。それが胚といって、要するに受精卵そのものです。それがどういう風にひよこになるか、昔から生物学者はいろんなことを調べました。どうやって調べるかというと受精卵が1日経ったところで、ちょっとかわいそうだけれどもゆで卵にします。それで、2日目でゆで卵にする、3日目でゆで卵にする、4日目でする。そうやって、20日ぐらいまでやれば全部のプロセスをゆで卵にできるわけです。

何を言いたいかというと、胚であったほんのシミみたいなところから血管ができてくるわけです。血管はまず黄身の所に伸びていきます。要するに黄身というのは栄養分です。栄養を取れば老廃物が出ます。その老廃物を捨てる尿膜という膜の構造が殻のとことにあって、そこに捨てています。要するに、ひよこになる生き物の体は、資源とちゃんとつながるようになっています。それから排泄物を捨てる袋とつながっている。殻にへばりついた排泄物を捨てる袋の外には空気がある。卵の殻は孔だらけです。二酸化炭素を外に出して、酸素を含んだ空気を取り込むということをやっている。もしペンキを塗って穴をつぶしてしまったら、死んじゃうわけですよ。そこに資源と生き物と環境の関係があります。

それで僕は思ったんです。資源は絶対に必要である。しかし、それを使えば必ず排泄物が出ます。だから、もったいないというのは大事なことではあるんですけれど、それだけで物事は動かない。要するにちゃんと捨てられるということが実は大事なんです。そのことを僕らは頭に入れておかなければいけない。ですから、捨てられないゴミは絶対に作っちゃいけないというのが答ですね。

捨てられないゴミを、日本は残念ながらこの40年ほどの間にたくさん作ってしまった。言わなくてもわかると思うんですけど、原子核の。だから、原発の再稼働は本当にやってはいけないことなのだけれども、それをわかっていない人が残念ながら世界にはたくさんいます。僕はアジテイトするためにこういう話をしているのではなくて、卵の小さな世界と、チエコのこのプログラムでやっていることと、日本の全体とか世界の全体は同じなんです。それがうまくいかなくなっているので、皆おかしくなっているんですね。

卵は転がしながらひよこになるのは結構大事なことで、転がすことをさぼったら孵らない。親鳥はそれをうまくやっているわけです。そういうことが生命系をちゃんと保つことの基本で、そうしたことを皆でシェアすることのひとつにチエコのような活動があるのだと、改めて皆さんの話を伺いながら思いました。どうもありがとうございました。


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